昨日と今日がくっついていて、ようやく終わる。

2007年8月10日


8月8日 CM音源レコーディング&KIMONO MY HOUSE上京〜取材日
8月9日 KIMONO MY HOUSE取材日
8月10日 ライター仕事取材


8日はCM音源のレコーディング。福岡の制作会社からの発注なのでクライアント筋の立会い確認はなし。録り終わった音をトラックダウン前に制作会社にデータ送信し確認後トラックダウンという段取り。翌日がCMのMA日ということで一発勝負に近い制作進行となる。同日、KIMONO MY HOUSEが京都から取材日の初日ということで東京にやって来る。とりあえず品川駅からスタジオに直行させる。一本目の取材はスタジオ内の空いているボーカル録音用のブースを借りておこなうことに。が、その狭いブースはエアコンが故障中でサウナ状態。夜のラジオ収録はメンバーのみで局入り。さらに10月リリース作のミックスをお願いしているエンジニアからも内容確認の電話。頭くらくらさせながら、リバーブの深さやディレイのタイム感についてやりとり。複数の仕事をどうにか同時進行でこなしていく。レコーディングは深夜3時頃に無事(?)終了。


夜明け前に帰宅。翌日9日は10時半にラジオ局入りでKIMONO MY HOUSEの生放送出演。ぎりぎりまで眠りたいところだが8時過ぎに起床。NHKにテレビのチャンネルをあわせて、高校野球中継をぎりぎりまで見る。6歳の頃から見続けている大河ドラマのようなもの。今年も欠点を修復してきっちり最後の年に仕上げてくる選手がいる。こういう選手は大人になってからもきっちりと結果を出していくのだろう。いつまでたっても学ばないミュージシャンの顔がちらほら。


昼食にうなぎで精をつけながら、夕方5時に全ての取材を終えて軽く打ち上げ。某居酒屋の入り口に張ってあった「まぐろ食べ放題」のポスターに引かれ入店。「とりあえず生」に続きお目当てのまぐろを注文。しかし店員は乗りの悪い言葉が帰ってくる。「まぐろ食べ放題」は来月のキャンペーンだと知る。すっかり酔っ払う。19時過ぎの新幹線でKIMON MY HOUSEを見送り、あるライブイベントへ。飲まないつもりがまた飲む。。。彼らはバンド活動を頑張っているからこそ音楽を学ばないのだろうかと思っているうちに痛飲。


本日は13時からライター仕事。出版社・書店業界の業界新聞に掲載する原稿。先週終えたクイック・ジャパンの森山前編集長に続き、藤井新編集長の取材日となっている。二日酔いを乗り越えて8時過ぎに起床し今朝も高校野球を。ボリュームを下げた画面を見ながら取材時のイメージトレーニング。取材はしたり、されたり、立ち会ったり、ウォーミングアップ練習をさせたりしているのだが、常に課題は短い言葉で主題や核心を相手に投げること。それはいつも難しい。が、誤解を恐れてはいけないということはわかっている。誤解されないようにくどくどと説明するくらいなら、端的な言葉ひとつで誤解されたほうがまだいい。次の展開に繋がるから。


今夏初のフルイニング観賞となった第一試合は前田監督率いる優勝候補・帝京高校があぶなげなく勝利。昨年、神宮球場でみた東東京大会準決勝、帝京×足立新田戦の前田監督の野球はえげつなかった。ライブに例えるといきのいい若手対バンを叩き潰す格上バンド。そこには、客席のファンや親族の浮ついた夢ごと潰す勝利でなければならないという寒気がする程の凄みがあった。何故か。この相手がこの試合に善戦すると来年以降やっかいな敵に育つということを知っているから。今潰さないと近い将来やられるかも知れないという情け無用の全力勝負。ゼロからスタートして、全国で30年以上に渡りしのぎを削り続けてきたプロフェッショナルなアマチュア野球。勝者の栄光はひとりの頭上のみに輝く。WBCイチローが韓国戦の前に言った「今後30年日本には勝てないという勝ち方で勝たないといけない」を思い出しながらダイヤモンドを眺めていた。


日本全国にこういった監督たちがいる。高校の部活動に人生をかけてしのぎを削り続け結果を出し続ける監督たちがいる。特徴は才能の無い人間への見切りと、人間くさすぎるヒューマンな情熱という矛盾が過剰に極端に併せ持っていること。基本的に変人の部類に入る人たちだが、きっといろんな答えを知っているはず。いつかこういった人たちが本音を語れる時代が来るといい。


取材を終えて夕方5時に僕らの事務所がある下北沢に帰ってくる。駅から事務所までの通り道は約2分。そのわずか2分の道程中に誘惑に負けてしまう。視線の端を横切る「平日食べ放題」という牛角の張り紙。というわけで、軽くひとり焼肉でプチ打ち上げ。「昨日と今日がくっついていく世界で」(マルシー小沢健二)という2泊3日が終わった。(本当は終わってないのだが。。。)オザケンのこのフレーズの続きは「塩をなめ唇をうるおせ。水を飲み乾きだけを癒せ」とかっこよく続くのだが、こちらはカルビで唇をうるおし、生ビールで渇きを癒してしまう。ストイックは大変だ。20歳の頃から折につけ、ひとり焼肉でしみじみするのが好きなもので。目線左下には長年に渡る日々の相棒、日刊ゲンダイと。


2006年夏。帝京高校×智弁和歌山高校。9回裏全投球。


全国でしのぎを削ってきた者同士の削り合い。才能溢れる子供たちを鍛え上げて全てをやり尽くしたチーム同士による、矢折れ弾が尽きた後の白兵戦。(機会があるときに智弁和歌山高校・高嶋監督の勝負どころに照準を合わせたチームの仕上げ方についても書きます)。ボーカルの喉が潰れたとき。ギターの弦が4本切れたとき。ベースの弦が3本切れたとき。ドラムのスティックが1本折れたとき。なのにステージから降りられないとき。なにができるのだろうか。残酷でしびれるクライマックス。勝者はひとりのショー・マスト・ゴーズ・オン。「ウィー・アー・ザ・チャンピオン」ではなく「アイ・アム・ザ・チャンピオン」の世界がここに。


帝京 0 0 0 2 0 0 0 2 8 12
智弁 0 3 0 3 0 0 2 0 5X 13

【帝京】高島、垣ケ原、大田、勝見、●杉谷、岡野
智弁和歌山】広井、竹中、○松本
本塁打
(帝京) 塩沢 2号、沼田 1号
智弁和歌山) 上羽 1号、広井 4号、橋本 1号、馬場 1号、馬場 2号