The Smiths「There is Light Never Goes out」


1980年代、The Smithsは世界中のがけっぷち少年の心に
蒼白い闘争の炎を焚き付けた・・・ などと2010年に書くと
相当、気恥ずかしいものがあります、、、。


要は「世界VS男の子meetsどこかにいる女の子」という
構図に自意識過剰になっていた青二才の文系男子にとって、
ヒーローのひとりがThe Smithsのフロントマンである
モリッシーだったということです。



(↑モリッシーは左からふたり目)


ここからが本題です(そんなに大げさな話ではないですが)。


The Smithsのキャリア後期にあたる時期に
「There is Light Never Goes out」という名曲があるのですが、
この歌が2009年に公開された『(500)日のサマー』という
お洒落恋愛映画の挿入歌になっていることは知っていました。


『(500)日のサマー』は仕事で少しお付き合いのある
劇場の公開作なので見たほうがいい作品ではあったのですが、
自分が青臭かった時期の音楽を起用した恋愛映画は、
どうにも心がもやもやするので見ないことにしていました。




先日、友人K君のブログ『スムーズ』を覗くと、
彼は見たらしく「ぼんくらボーイ・ミーツ・エロ不思議ガール」との感想が。


彼によると、劇中で主人公のぼんくらボーイのヘッドホンから
「There is Light Never Goes out」が漏れたところ、
エロ不思議ガールが、この曲のキメにあたるフレーズ
「私、あなたのそばで死ねるのなら、最高に幸せな死に方だわ」を
口ずさむらしいのです。それがふたりが出会うきっかけだと、、、。


ちなみにこのフレーズは歌中に出てくる語り部である、
孤独な女の子の妄想中の言葉です。
で、これに繋がっていく前フレーズは
「例え10トントラックが私たちを轢き潰しても」。


ぎりぎりの神経から放たれた愛のフレーズが、
暗い情念を燃やすバンドの代名詞だったThe Smithsが、
2010年、ついにお洒落映画のキーアイテムとなったのです。



The Smithsの名は、お互いに好き同士だと
わかっていないと口にしてはいけない
秘め事のようなものでした。


時代はめぐるとも言いますが、
時代は過ぎ去っていきもするのですね。


ポスト・パンクは遠くなりにけり。




↓は映画監督のデレク・ジャーマンが制作した
「There is Light Never Goes out」のPV。


The Smith「There is Light Never Goes out」